数ならぬみ山隠れの郭公
人知れぬ音をなきつつぞ経る
- 歌の意味
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物の数にも入らない、山奥に隠れたほととぎすのように、私は人知れず声をあげて泣きながら日を送っている。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 549
詞書「得がたかるべき女を思ひかけてつかはしける」
物の数にも入らない山奥のほととぎすのように、人知れず泣きながら日を送っていると詠んだ歌である。手の届かない女への思いを、取るに足らない自分を山に隠れたほととぎすにたとえて訴えている。
詞書によれば、手に入れがたい女に思いをかけて送った歌である。前の二首に続いてほととぎすを三句に置き、ほととぎすに託す恋の歌が三首並んでいる。
作者の「春道のつらき」は春道列樹である。春道新名の子で、文章生から壱岐守に任じられたが、赴任の前に没したと伝えられる。小倉百人一首には「山川に風のかけたるしがらみは」の歌が採られている。
初句「数ならぬ」は、物の数にも入らない、の意で、取るに足らない身を卑下している。
二句「み山隠れの」は、奥深い山に隠れた、の意である。
三句「郭公」は、ほととぎすで、本巻の第五百四十七首と第五百四十八首の三句と同じ語である。
四句「人知れぬ音を」の「音」は声のことで、人に知られない声を、の意である。
結句「なきつつぞ経る」の「なき」は、鳥が「鳴き」と、人が「泣き」を掛けた掛詞である。係助詞「ぞ」と連体形「経る」が係り結びをなしている。
みやま:奥深い山
ね:声、鳴き声
なく:鳥が「鳴く」意と、人が「泣く」意を掛ける
- 作者
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春道列樹
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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里ごとに鳴きこそ渡れ郭公 すみか定めぬ君尋ぬとて
- 次の歌
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逢ふことのかた糸ぞとは知りながら 玉の緒ばかり何によりけん