潮の間にあさりする海人もおのが世々
かひありとこそ思ふべらなれ
- 歌の意味
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潮の引いた間に漁をする海人でさえも、それぞれの暮らしに貝があり、生きる甲斐があると思っているようだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 758
詞書「心ざしありて言ひ交はしける女のもとより、人数ならぬやうに言ひて侍りければ」
潮の引いた間に漁をする海人も、それぞれに貝があり甲斐があると思っているようだ、と詠んだ歌である。自分を人並みでない身と卑下する女に、どんな身の上にもそれぞれ生きる甲斐があると励ましている。
詞書によれば、思いを寄せて言葉を交わしていた女が、自分は人並みの者ではないように言ってきたので詠んだ歌である。
作者の「はせをの朝臣」は紀長谷雄である。紀貞範の子で、菅原道真に学び、文章博士を経て中納言にまで昇った。漢詩文にすぐれた学者として知られる。
初句「潮の間に」は、潮の引いている間に、の意である。
二句「あさりする海人も」は、漁をする海人も、の意で、字余りとなっている。
三句「おのが世々」は、それぞれの暮らしに、の意である。
四句「かひありとこそ」の「かひ」は、海人の採る「貝」と、効果やしるしの意の「甲斐」を掛ける掛詞である。「こそ」は強めの係助詞である。
結句「思ふべらなれ」は、思っているようだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「なれ」で結ぶ係り結びとなっている。
あさる:魚や貝をとる、漁をする
よよ:それぞれの身の上、暮らし
かひ:「貝」の意と、「甲斐」の意を掛ける
- 作者
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紀長谷雄
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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わたつみと荒れにし床を今更に 払はば袖や泡と浮きなん
- 次の歌
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あぢきなくなどか松山波越さむ ことをばさらに思ひ離るる