頼めつつ逢はで年経るいつはりに
懲りぬ心を人は知らなん
- 歌の意味
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頼みにさせながら逢わないままで年が過ぎていく、その偽りにも懲りない私の心を、あの人には知ってほしい。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 967
詞書「久しく言ひわたり侍りけるに、つれなくのみ侍りければ」
頼みにさせながら逢わないまま年が過ぎる偽りにも懲りない私の心を、あの人に知ってほしい、と詠んだ歌である。何度裏切られても思い続ける一途な心を、相手に知ってほしいと訴えている。
詞書によれば、長く言い寄り続けていたが、相手がつれないばかりだったので詠んだ歌である。次歌の第九百六十八首に伊勢の返しが置かれ、巻頭の第八百九十一首、第八百九十二首と同じく業平と伊勢の贈答の形に配されている。
作者の「業平朝臣」は在原業平である。平城天皇の皇子阿保親王の子で、右近衛権中将に至った。六歌仙、三十六歌仙の一人で、伊勢物語の主人公に擬せられ、小倉百人一首には「ちはやぶる神代も聞かず竜田川」の歌が採られている。
初句「頼めつつ」は、頼みにさせながら、の意で、「頼め」は下二段活用で、あてにさせる意である。
二句「逢はで年経る」は、逢わないままで年が過ぎる、の意で、「で」は打消しの接続助詞である。
三句「いつはりに」は、偽りに、の意である。
四句「懲りぬ心を」は、懲りない心を、の意で、何度欺かれても思い続ける心を表している。
結句「人は知らなん」は、あの人には知ってほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞「なむ」である。
たのむ:頼みに思わせる、あてにさせる
こる:懲りる
- 作者
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在原業平
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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数ならぬ身は山の端にあらねども 多くのつきを過ぐしつるかな
- 次の歌
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夏虫の知る知る迷ふおもひをば 懲りぬ悲しと誰か見ざらん