卯の花を散りにし梅にまがへてや
夏の垣根に鶯の鳴く
- 歌の意味
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卯の花を、もう散ってしまった梅の花と見間違えたのだろうか。夏の垣根で鶯が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 89
詞書「山里の卯の花に鶯の鳴き侍りけるを」
夏の垣根に咲く白い卯の花で鶯が鳴くのを、散ってしまった白梅と見間違えたのだろうかと推し量る歌である。春の鳥である鶯が夏にも鳴いていることに興を覚え、卯の花と梅の白さを重ねている。詞書によれば、山里の卯の花に鶯が鳴いていたのを詠んだ歌である。
作者の「平公誠」は、平安時代中期の歌人である。伝記の詳細は明らかでない。
初句「卯の花を」は、初夏に白い花を咲かせる卯の花をいう。本歌から第九十四首まで卯の花の歌が続き、その一連の始まりとなる。
二句「散りにし梅に」は、すでに散ってしまった梅に、の意で、「にし」は完了の「ぬ」と過去の「き」が重なった形である。春の梅を思い起こさせ、季節の移りを示す。
三句「まがへてや」は、見間違えて、の意で、「や」は疑問の係助詞であり、結句の「鳴く」で結ぶ係り結びとなる。
四句「夏の垣根に」は、夏の垣根に、の意で、第八十首と同じく卯の花と垣根を取り合わせている。
結句「鶯の鳴く」は、連体形の「鳴く」で三句の「や」を受けて結ぶ。巻第一で春の鳥として詠まれた鶯を夏の巻に登場させ、季節の重なりを描いている。
まがふ:見間違える。区別がつかなくなる
- 作者
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平公誠
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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たこの浦の底さへにほふ藤波を かざして行かん見ぬ人のため
- 次の歌
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卯の花の咲ける垣根はみちのくの まがきの島の波かとぞ見る