卯の花の咲ける垣根はみちのくの
まがきの島の波かとぞ見る
- 歌の意味
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卯の花が咲いている垣根は、陸奥の籬の島に寄せる白波かと見えることだ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 90
詞書「題しらず」
卯の花の咲く垣根を、陸奥の歌枕である籬の島に寄せる白波に見立てた歌である。白い花と白波を重ね、垣根と籬という同じ意味の語を響き合わせる言葉の遊びが趣向となっている。
初句「卯の花の」は、前歌に続き、垣根に咲く卯の花をいう。
二句「咲ける垣根は」は、咲いている垣根は、の意で、本巻の第八十首、第八十九首と同じく卯の花と垣根の取り合わせを受け継ぐ。
三句「みちのくの」は、陸奥国の、の意で、四句の歌枕を導く。都から遠い東北の地を持ち出し、身近な垣根との遠近の対比を生んでいる。
四句「まがきの島の」は、陸奥国の塩竈の浦にある歌枕の籬の島をいう。「まがき」は垣根と同じく柴や竹で編んだ垣の意で、二句の「垣根」と響き合う。
結句「波かとぞ見る」は、白波かと見ることだ、の意で、「ぞ」の係り結びにより連体形の「見る」で結ぶ。卯の花の白さを波に見立てる趣向は、次歌以下で雪や幣、白妙の衣への見立てへと展開していく。
まがき:柴や竹で目を粗く編んだ垣。籬
まがきのしま:陸奥国の塩竈の浦にある小島。籬の島。歌枕
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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卯の花を散りにし梅にまがへてや 夏の垣根に鶯の鳴く
- 次の歌
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神祭る卯月に咲ける卯の花は 白くもきねがしらげたるかな