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神祭る卯月に咲ける卯の花は
白くもきねがしらげたるかな

歌の意味
神を祭る卯月に咲いている卯の花は、なんと白いことか。まるで禰宜が杵でついて白く精げたかのようだ。
鑑賞
巻第二 夏歌 91

詞書「延喜御時月次御屏風に」
 神祭りの多い卯月に咲く卯の花の白さを、神に仕える禰宜が杵で米をついて白く精げたようだと見立てた歌である。「きね」に禰宜と杵を掛け、神事と米つきを結びつけた機知に富む一首である。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代に、月ごとの行事を描いた屏風に添えた歌である。
 作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、紀貫之と並び称された。三十六歌仙に数えられる。

 初句「神祭る」は、神を祭る、の意で、陰暦四月に賀茂祭をはじめ多くの神事が行われたことを踏まえる。次歌の第九十二首も同じ「神祭る」で始まり、二首が対をなす。
 二句「卯月に咲ける」は、陰暦四月に咲いている、の意である。卯月と卯の花は名の上でも響き合う。
 三句「卯の花は」は、白い卯の花をいい、下の句の白さの見立てを導く。
 四句「白くもきねが」は、「きね」に神に仕える禰宜の意と、米をつく杵の意を掛けた掛詞である。神祭りの縁で禰宜を出し、白さの縁で杵を響かせている。
 結句「しらげたるかな」は、米をついて白くした、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。前歌が卯の花を白波に見立てたのに対し、本歌は精げた米の白さに見立てている。

うづき:陰暦四月。卯月
きね:神に仕える禰宜の意と、米をつく杵の意を掛ける
しらぐ:米をついて白くする。精げる
作者
凡河内躬恒
出典
拾遺和歌集
前の歌
卯の花の咲ける垣根はみちのくの まがきの島の波かとぞ見る
次の歌
神祭る宿の卯の花白妙の みてぐらかとぞあやまたれける