隠れ蓑隠れ笠をも得てしかな
きたりと人に知られざるべく
- 歌の意味
-
身を隠す隠れ蓑や隠れ笠を手に入れたいものだ。それを着て、あなたのもとへ来たと人に知られないように。
- 鑑賞
-
巻第十八 雑賀 1192
詞書「忍びたる人のもとに遣はしける」
隠れ蓑や隠れ笠を手に入れたい、それを着てあなたのもとへ来たと人に知られないようにと詠む歌である。詞書から、人目を忍んで通う相手のもとへ送った歌とわかる。着れば姿が消えるという想像上の蓑と笠を持ち出し、「来たり」と「着たり」を掛けて、人目をはばかる恋の苦しさを、おとぎ話めいた願いに託している。
作者の平公誠は、伝の詳らかでない人物である。
初句「隠れ蓑」は、着ると姿が見えなくなるという蓑、の意である。
二句「隠れ笠をも」は、着ると姿が見えなくなるという笠も、の意で、初句の「隠れ蓑」と対をなしている。
三句「得てしかな」は、手に入れたいものだ、の意で、「てしかな」は自分の願望を表す終助詞である。ここで句切れとなる三句切れの歌である。
四句「きたりと人に」は、「きたり」が「来たり」と、蓑笠を「着たり」を掛ける掛詞である。前歌の第千百九十一首の三句「着たるかな」と、「着る」の語でつながっている。
結句「知られざるべく」は、知られないように、の意で、「ざる」は打消、「べく」は可能の助動詞「べし」の連用形である。三句の願いの目的を倒置して示している。
かくれみの:隠れ蓑。着ると姿が見えなくなるという想像上の蓑
かくれがさ:隠れ笠。かぶると姿が見えなくなるという想像上の笠
きたり:「来たり」と、蓑笠を「着たり」を掛ける
- 作者
-
平公誠
- 出典
-
拾遺和歌集
- 前の歌
-
あやしくも我が濡れ衣を着たるかな 三笠の山を人に借られて
- 次の歌
-
心ありて問ふにはあらず世の中に ありやなしやの聞かまほしきぞ