心ありて問ふにはあらず世の中に
ありやなしやの聞かまほしきぞ
- 歌の意味
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心を寄せて尋ねているのではない。あの人がこの世に生きているのかいないのかを、聞きたいだけなのだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑賀 1193
詞書「年月を経て懸想し侍りける人のつれなくのみ侍りければ、今はさらに世にもあらじと言ひ侍りて後、久しく訪れず侍りければ、かの男の妹に先々も語らひて文など遣はしければ、言ひ遣はしける」
心を寄せて尋ねているのではない、あの人がこの世に生きているのかいないのかを聞きたいだけだと詠む歌である。詞書から、長年言い寄ってきた男に冷たくし続けたところ、男がもうこの世にはいるまいと言い残して久しく訪れなくなったので、以前から親しく文を交わしていた男の妹に、女が言い送った歌とわかる。恋心からではないと強がりながら、男の安否を気づかわずにはいられない心が表れている。
初句「心ありて」は、思いを寄せて、の意で、相手に心があることをいう。
二句「問ふにはあらず」は、尋ねているのではない、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「世の中に」は、この世に、の意で、男が言い残した「世にもあらじ」を受けている。
四句「ありやなしやの」は、生きているのかいないのか、の意である。巻末の第千二百九首の初句と二句「生きたるか死ぬるか」と、相手の生死を気づかう点で通い合っている。
結句「聞かまほしきぞ」は、聞きたいのだ、の意で、「まほしき」は願望の助動詞「まほし」の連体形、「ぞ」は文末で強く言い切る意を表す。
けさうす:懸想す。異性に思いをかける、言い寄る
かたらふ:語らふ。親しく付き合う
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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隠れ蓑隠れ笠をも得てしかな きたりと人に知られざるべく
- 次の歌
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君訪はでいくよ経ぬらん色変へぬ 竹の古根の生ひかはるまで