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君訪はでいくよ経ぬらん色変へぬ
竹の古根の生ひかはるまで

歌の意味
あなたが訪れないまま、どれほどの年月が過ぎたのだろうか。色を変えない竹の古い根から、新しい竹が生え替わるまで。
鑑賞
巻第十八 雑賀 1194

詞書「語らひける人の久しう音せず侍りければ、筍を遣はすとて」
 あなたが訪れないまま、色を変えない竹の古い根から新しい竹が生え替わるまで、どれほどの年月が過ぎたのだろうかと詠む歌である。詞書から、親しくしていた人が長く便りをよこさないので、筍を贈ったときの歌とわかる。贈り物の筍に事寄せ、竹の「節」と「世」を掛けて、竹が生え替わるほど長く訪れのないことを恨みつつ、変わらぬ自らの心を色を変えない竹に託している。

 初句「君訪はで」は、あなたが訪れないで、の意で、「で」は打消の接続助詞である。
 二句「いくよ経ぬらん」は、「よ」が「世」と竹の「節」を掛ける掛詞である。幾年が過ぎたのだろうか、の意で、ここで句切れとなる二句切れの歌である。本巻の第千百六十一首の四句「長きよに置く」と、竹の「節」と「世」の同じ掛詞を用いている。
 三句「色変へぬ」は、色を変えない、の意で、常緑の竹をいい、相手を思い続ける自分の変わらぬ心を重ねている。
 四句「竹の古根の」は、竹の古い根の、の意である。
 結句「生ひかはるまで」は、新しく生え替わるまで、の意で、贈り物の筍を、古い根から生え替わった竹として示している。二句の問いの長さを倒置して示している。

たかうな:筍。たけのこ
よ:「世」と、竹の「節(よ)」を掛ける
ふるね:古根。古い根
おひかはる:生ひ替はる。新しく生え替わる
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
心ありて問ふにはあらず世の中に ありやなしやの聞かまほしきぞ
次の歌
来ぬ人を下に待ちつつ久方の 月をあはれと言はぬ夜ぞなき