- 歌の意味
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一面に立ちこめる霞だけが白く見えるのだろうか、いやそうではない。山が高いので遠くに見える桜の色も、霞と同じひとつの色なのに。
- 鑑賞
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巻第二 春歌中 63
詞書「題しらず」
山に立ちこめる霞だけが白いのではない、高い山に遠く見える桜の色も霞と同じ色で見分けがつかないと詠んだ歌である。霞と桜が溶け合う遠景を、反語を用いて印象的に描いている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「立ち渡る」は、霞が一面に立ちこめるさまを示す。
二句「霞のみかは」の「かは」は反語で、霞だけだろうか、いやそうではない、の意である。ここで句切れとなる。霞と花の色が紛れる趣向は、本巻の第七十三首の、霞が花の色を閉じ込めるという題の歌とも通じている。
三句「山高み」の「み」は理由を表す接尾語で、山が高いので、の意である。
四句「見ゆる桜の」は、遠く山の上に見える桜を示す。
結句「色も一つを」の「を」は詠嘆を込めた逆接で、桜の色も霞と同じひとつの色なのに、の意を表す。
たちわたる:一面に立ちこめる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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春来れば木隠れ多き夕月夜 おぼつかなしも花陰にして
- 次の歌
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大空に覆ふばかりの袖もがな 春咲く花を風にまかせじ