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いつしかと暮れを待つ間の大空は
曇るさへこそうれしかりけれ

歌の意味
早く日が暮れないかと待っている間の大空は、曇ることまでがうれしいことだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 722

詞書「題しらず」
 早く日が暮れないかと待つ間は、大空が曇ることまでうれしいと詠む歌である。逢瀬の日暮れを待ちわびる心には、空が曇って暗くなるのが、日暮れが近づくように思えて喜ばしいという、恋する者の心理を描いている。第七百十四首の「今日の暮れ」と同じく、日暮れを待つ心を詠んでいる。次の第七百二十三首から第七百二十六首にかけて、明けと暮れをめぐる歌が続く。

 初句「いつしかと」は、早く〜しないかと、の意で、待ち遠しい心を表す。
 二句「暮れを待つ間の」は、日暮れを待つ間の、の意で、本巻の第七百十四首の四句「今日の暮れこそ」と、日暮れを待つ心を共有している。
 三句「大空は」は、大空は、の意である。
 四句「曇るさへこそ」は、曇ることまでも、の意で、「さへ」は添加、係助詞「こそ」は結句の已然形「けれ」で結ぶ係り結びである。
 結句「うれしかりけれ」は、うれしいことだ、の意で、本巻の第七百四十五首の結句「うれしかりけれ」と同じ句である。

くれ:暮れ。日暮れ。男が女のもとを訪れる時刻
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
二つなき心は君におきつるを 又ほどもなく恋しきやなぞ
次の歌
日のうちに物を二たび思ふかな 疾く明けぬると遅く暮るると