年月の行方も知らぬ山がつは
滝の音にや春を知るらん
- 歌の意味
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年月の移り行きも知らない山里の人は、滝の音によって春が来たことを知るのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十六 雑春歌 1003
詞書「北宮屏風に」
暦を持たず、年月の移り行きも知らない山に住む人は、滝の音で春の訪れを知るのだろうかと思いやる歌である。詞書から、北宮の屏風の絵に添えた歌とわかる。雪解けの水で勢いを増した滝の音に春を聞き取る、山里の暮らしを描いた絵の情景を詠んでいる。次歌の第千四首とともに、春の滝を詠む歌である。
作者の右近は、右近少将藤原季縄の娘で、醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房である。百人一首の「忘らるる身をば思はず」の歌で知られる。
初句「年月の」は、年や月の、の意である。
二句「行方も知らぬ」は、どのように過ぎていくかも知らない、の意で、暦とは無縁の暮らしをいう。
三句「山がつは」は、山に住む身分の低い人は、の意である。
四句「滝の音にや」は、滝の音によって、の意で、係助詞「や」は疑問を表し、結句の「らん」で結ぶ係り結びである。次歌の第千四首の二句「滝の白糸」と、滝を詠む点で並んでいる。
結句「春を知るらん」は、春を知るのだろうか、の意で、「らん」は現在推量の助動詞の連体形である。
やまがつ:山賤。山里に住む身分の低い人
- 作者
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右近
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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新しき年にはあれども鶯の 鳴く音さへには変はらざりけり
- 次の歌
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春来れば滝の白糸いかなれや むすべども猶あわに見ゆらん