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新しき年にはあれども鶯の
鳴く音さへには変はらざりけり

歌の意味
新しい年ではあるけれども、鶯の鳴く声までは変わらないのだった。
鑑賞
巻第十六 雑春歌 1002

詞書「題しらず」
 年は新しくなったが、鶯の鳴く声までは去年と変わらないと詠む歌である。年が改まっても変わることなく春を告げる鶯の声に、心を寄せている。前歌の第千一首が新しい年に古びていく我が身を嘆いたのに対し、この歌は新しい年にも変わらない鶯の声を詠み、同じ初句から異なる感慨を引き出している。

 初句「新しき」は、新しい、の意で、前歌の第千一首の初句と同じ語で、新年を詠む歌が続いている。
 二句「年にはあれども」は、年ではあるけれども、の意で、「ども」は逆接の接続助詞である。前歌の二句「年は来れども」と同じく、逆接で下の句へ続いている。
 三句「鶯の」は、鶯が、の意で、春を告げる鳥として詠まれている。
 四句「鳴く音さへには」は、鳴く声までは、の意で、「さへ」は添加を表す副助詞である。
 結句「変はらざりけり」は、変わらないのだった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。前歌の結句「ふりまさりけれ」が古びていく我が身を嘆いたのと、変わる身と変わらない鳥の声という対比をなしている。

ね:音。鳴き声
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
新しき年は来れどもいたづらに 我が身のみこそふりまさりけれ
次の歌
年月の行方も知らぬ山がつは 滝の音にや春を知るらん