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おほかたの秋の空だにわびしきに
物思ひ添ふる君にもあるかな

歌の意味
ふつうの秋の空でさえわびしいのに、そのうえ物思いを添えるあなたであることよ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 423

詞書「あひ知りて侍りける男の久しう問はず侍りければ、長月ばかりにつかはしける」
 ふつうの秋の空でさえわびしいのに、そのうえ物思いを添えるあなたであることよと詠んだ歌である。訪れてこない恋人を、秋のわびしさにさらに物思いを重ねる人として恨んでいる。
 詞書によれば、親しくしていた男が長い間訪れなかったので、九月ごろに送ったものである。巻第六の第二百七十八首、醍醐天皇の御製「おほかたも秋はわびしき時なれど」も、秋そのもののわびしさを踏まえて歌を詠んでいる。
 作者の右近は右近少将藤原季縄の娘で、醍醐天皇の中宮藤原穏子に仕えた。小倉百人一首には「忘らるる身をば思はず誓ひてし」の歌が採られている。

 初句「おほかたの」は、世間一般の、ふつうの、の意である。
 二句「秋の空だに」の「だに」は、さえ、の意で、秋の空でさえ、の意である。
 三句「わびしきに」は、わびしいのに、の意である。
 四句「物思ひ添ふる」は、物思いをさらに加える、の意である。
 結句「君にもあるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、あなたであることよ、の意である。

おほかた:世間一般、ふつう
わびし:心細くさびしい、つらい
作者
右近
出典
後撰和歌集
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紅葉葉にたまれる雁の涙には 月の影こそ移るべらなれ
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わがごとく物思ひけらし白露の 夜をいたづらにおき明かしつつ