わがごとく物思ひけらし白露の
夜をいたづらにおき明かしつつ
- 歌の意味
-
私と同じように物思いをしていたらしい。白露は、夜をむなしく置いたまま明かし続けて。
- 鑑賞
-
巻第七 秋歌下 424
詞書「題しらず」
白露も私と同じように物思いをしていたらしい、夜をむなしく置いたまま明かし続けているのだからと詠んだ歌である。眠れずに夜を明かす自分を、夜通し草葉に置いている露に重ねている。
巻第六の第二百九十首「秋の夜をいたづらにのみおき明かす」と同じく、夜を明かす身を露に重ねている。前歌の物思いの歌に続いて、物思いを詠んでいる。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「わがごとく」は、私と同じように、の意である。
二句「物思ひけらし」の「けらし」は過去の推定で、物思いをしていたらしい、の意である。ここで句切れとなる。
三句「白露の」は、白露が、の意である。
四句「夜をいたづらに」は、夜をむなしく、の意である。
結句「おき明かしつつ」の「おき」は、露が「置く」意と、人が「起く」意を掛けた掛詞である。「つつ」は継続を表し、置いたまま夜を明かし続けて、の意である。初句から二句と倒置の関係にある。
おく:露が「置く」意と、人が「起く」意を掛ける
いたづら:むなしいこと、無益なこと
- 作者
-
よみ人しらず
- 出典
-
後撰和歌集
- 前の歌
-
おほかたの秋の空だにわびしきに 物思ひ添ふる君にもあるかな
- 次の歌
-
秋深みよそにのみ聞く白露の 誰が言の葉にかかるなるらん