唐衣かけて頼まぬ時ぞなき
人のつまとは思ふものから
- 歌の意味
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唐衣を衣桁に掛けるように、心にかけて頼みにしない時はない。あなたがほかの人の夫だとは思うものの。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 746
詞書「人の男にて侍る人をあひ知りてつかはしける」
心にかけて頼みにしない時はない、ほかの人の夫だとは思うけれど、と詠んだ歌である。妻のある男と知りながら、思いを寄せずにはいられない女の心を述べている。
詞書によれば、ほかの女の夫である人と親しくなって送った歌である。
作者の右近は、右近少将藤原季縄の娘で、醍醐天皇の中宮穏子に仕えた。小倉百人一首には「忘らるる身をば思はず誓ひてし」の歌が採られている。
初句「唐衣」は、中国風の美しい衣で、衣を掛けることから二句の「かけて」を導く枕詞として用いられている。本巻の第七百十三首、第七百二十九首の初句、三句にも「唐衣」が置かれている。
二句「かけて頼まぬ」の「かけ」は、衣を「掛け」と、心に「かけ」を掛ける掛詞である。
三句「時ぞなき」は、時はない、の意で、「ぞ」は強めの係助詞であり、連体形「なき」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
四句「人のつまとは」は、ほかの人の夫だとは、の意で、「つま」は配偶者をいい、ここでは夫を指す。
結句「思ふものから」は、思うものの、の意で、「ものから」は逆接の接続助詞である。三句と倒置の関係にある。
からころも:中国風の美しい衣
かく:衣を「掛く」意と、心に「かく」意を掛ける
つま:配偶者。ここでは夫
- 作者
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右近
- 出典
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後撰和歌集
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わたの底かづきて知らむ君がため 思ふ心の深さくらべに
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