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わたの底かづきて知らむ君がため
思ふ心の深さくらべに

歌の意味
海の底に潜って確かめてみよう。あなたのために思う私の心の深さと、海の深さとを比べるために。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 745

詞書「題しらず」
 海の底に潜って確かめよう、あなたを思う心の深さと比べるために、と詠んだ歌である。自分の思いの深さは海の底よりも深いと言わんばかりに、比べてみようと誇張して訴えている。
 作者の「これのり」は坂上是則である。坂上田村麻呂の子孫で、加賀介などを務めた。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「朝ぼらけ有明の月と見るまでに」の歌が採られている。

 初句「わたの底」は、海の底、の意である。
 二句「かづきて知らむ」は、潜って確かめよう、の意で、「む」は意志を表す。ここで句切れとなり、三句以下と倒置の関係にある。
 三句「君がため」は、あなたのために、の意である。
 四句「思ふ心の」は、思う心の、の意である。
 結句「深さくらべに」は、深さを比べるために、の意で、海の深さと心の深さを比べることをいう。

わた:海
かづく:水に潜る
作者
坂上是則
出典
後撰和歌集
前の歌
伊勢の海に塩焼くあまの藤衣 なるとはすれど逢はぬ君かな
次の歌
唐衣かけて頼まぬ時ぞなき 人のつまとは思ふものから