身をつめばあはれとぞ思ふ初雪の
ふりぬることも誰に言はまし
- 歌の意味
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わが身をつねって引き比べてみると、しみじみとあわれに思う。初雪が降ったことも、わが身が古びてしまったことも、いったい誰に言えばよいのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1068
詞書「久しうまかり通はずなりにければ、十月ばかりに雪の少し降りたる朝に言ひ侍りける」
わが身に引き比べるとあわれに思う、初雪が降ったことも、身が古びたことも誰に言えばよいのか、と詠んだ歌である。初雪の「降り」に、通う人のなくなった自分の身の「古り」を重ね、語りかける相手もいない寂しさを詠んでいる。
詞書によれば、相手が久しく通って来なくなったので、十月ごろ、雪が少し降った朝に言い送った歌である。この歌から巻末まで、雪や冬の景物を詠む歌が続き、巻の終わりに季節が冬から年の暮れへと移っていく。
作者の右近は、藤原季縄の娘で、醍醐天皇の中宮穏子に仕えた女房である。小倉百人一首には「忘らるる身をば思はず誓ひてし」の歌が採られている。
初句「身をつめば」は、わが身をつねってみれば、の意で、自分の身に引き比べて思いやる意である。
二句「あはれとぞ思ふ」は、しみじみと悲しく思う、の意で、係助詞「ぞ」を受けて連体形「思ふ」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
三句「初雪の」は、その冬初めて降る雪の、の意で、詞書の十月の雪を受けている。本巻の第千七十首から第千七十三首も雪を詠んでいる。
四句「ふりぬることも」は、降ったことも、の意で、「ふり」に雪が「降り」と、身が「古り」の意を掛けている。
結句「誰に言はまし」は、誰に言えばよいのだろう、の意で、「まし」はためらいを表す助動詞である。
つむ:指先でつねる
ふる:雪が降る意と、古びる意を掛ける
- 作者
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右近
- 出典
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後撰和歌集
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飛鳥河せきてとどむるものならば 淵瀬になるとなどか言はれん
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冬なれど君が垣ほに咲きければ むべとこなつに恋しかりけり