冬なれど君が垣ほに咲きければ
むべとこなつに恋しかりけり
- 歌の意味
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冬であるけれども、あなたの家の垣根に咲いていたので、なるほど常夏の名のとおり、いつまでも恋しく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1069
詞書「源ただあきらの朝臣、十月ばかりに、常夏を折りて贈りて侍りければ」
冬だけれどもあなたの垣根に咲いていたので、なるほど常夏の名のとおり、いつも恋しいことだ、と詠んだ歌である。季節はずれの冬に咲いた常夏の花に寄せ、その名の「常」に、変わらず恋しく思う心を重ねている。
詞書によれば、源ただあきらの朝臣が十月ごろに常夏の花を折って贈ってきたので詠んだ歌である。前歌の第千六十八首に続いて十月の歌で、冬の景物の中に夏の花を配している。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「冬なれど」は、冬であるけれども、の意で、「ど」は逆接の接続助詞である。
二句「君が垣ほに」は、あなたの家の垣根に、の意である。
三句「咲きければ」は、咲いていたので、の意である。
四句「むべとこなつに」は、なるほど常夏に、の意で、「とこなつ」に花の「常夏」と、いつも変わらない意の「常」を掛けている。「むべ」は、なるほど、の意である。
結句「恋しかりけり」は、恋しく思われることだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
とこなつ:撫子の別名と、常に変わらない意を掛ける
かきほ:垣根
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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身をつめばあはれとぞ思ふ初雪の ふりぬることも誰に言はまし
- 次の歌
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白雪の今朝は積もれる思ひかな 逢はでふる夜の程も経なくに