白雪の今朝は積もれる思ひかな
逢はでふる夜の程も経なくに
- 歌の意味
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白雪が積もるように、今朝は思いが積もっていることだ。あなたに逢わずに過ごした夜は、まだそれほどたってもいないのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌六 1070
詞書「女の恨むることありて、親のもとにまかり渡りて侍りけるに、雪の深く降りて侍りければ、朝に、女の迎へに車つかはしける消息に、加へてつかはしける」
白雪が積もるように今朝は思いが積もっている、逢わずに過ごした夜はまだいくらもたたないのに、と詠んだ歌である。一夜で深く積もった雪に、離れていたわずかな間につのった恋しさを重ね、女を迎える心を詠んでいる。
詞書によれば、恨むことがあって親のもとへ移っていた女を、雪が深く降った朝に車で迎えにやったとき、その便りに添えて送った歌で、次歌の第千七十一首に女の返しが置かれている。
作者の「かねすけの朝臣」は藤原兼輔である。中納言に至り、賀茂川の堤に邸があったことから堤中納言と呼ばれた。紫式部の曾祖父にあたり、小倉百人一首には「みかの原わきて流るるいづみ川」の歌が採られている。
初句「白雪の」は、白雪が積もるように、の意で、二句の「積もれる」を導いている。次歌の初句も同じである。
二句「今朝は積もれる」は、今朝は積もっている、の意で、雪の深く降った朝を受けている。
三句「思ひかな」は、思いであることよ、の意で、「かな」は詠嘆の終助詞である。ここで句切れとなる。
四句「逢はでふる夜の」は、逢わずに過ごした夜の、の意で、「ふる」に夜を「経る」意と、雪が「降る」意を掛けている。
結句「程も経なくに」は、時もたっていないのに、の意で、「なくに」は打消しに詠嘆を込めた逆接を表す。
ふる:時が経る意と、雪が降る意を掛ける
せうそこ:便り、手紙
- 作者
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藤原兼輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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冬なれど君が垣ほに咲きければ むべとこなつに恋しかりけり
- 次の歌
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白雪の積もる思ひも頼まれず 春より後はあらじと思へば