ちはやぶる賀茂の河辺の藤波は
かけて忘るる時のなきかな
- 歌の意味
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賀茂の河辺の藤の花房が木にかかるように、心にかけて、少しもあなたを忘れる時はないことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1235
詞書「賀茂臨時祭の使に立ちての朝に、かざしの花に挿して左大臣の北の方のもとに言ひ遣はしける」
賀茂の河辺の藤の花房が木にかかるように、心にかけて少しも忘れる時はないと詠む歌である。詞書から、賀茂の臨時祭の勅使を務めた翌朝、かざしの藤の花に挿して、左大臣の北の方のもとに送った歌とわかる。祭りで挿した藤の花に事寄せ、「かけて」に藤が掛かる意と、少しも の意を重ねて、相手を片時も忘れない思いを伝えている。
作者の「兵衛」は、誰を指すかについて定説を見ない。兵衛は宮中の警護にあたる兵衛府にかかわる呼称で、女房の呼び名にも用いられる。
初句「ちはやぶる」は、神にかかる枕詞で、ここでは賀茂の社をいう二句の「賀茂」にかかっている。
二句「賀茂の河辺の」は、賀茂川のほとりの、の意で、賀茂の社のあたりをいう。
三句「藤波は」は、藤の花房は、の意で、詞書のかざしの藤の花をいう。
四句「かけて忘るる」は、「かけて」が藤の花房が木に「掛けて」と、下に打消を伴って少しも の意の「かけて」を掛ける掛詞である。
結句「時のなきかな」は、時はないことだ、の意で、四句の「かけて」と呼応して、少しも忘れる時がない意となる。「かな」は詠嘆を表す。
かけて:藤の花房が「掛けて」の意と、下に打消を伴って少しも の意の「かけて」を掛ける
ふぢなみ:藤波。藤の花房が風に揺れるさま
かざし:挿頭。冠などに挿す花
きたのかた:北の方。身分の高い人の妻
- 作者
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兵衛
- 出典
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拾遺和歌集
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染河を渡らん人のいかでかは 色になるてふ事のなからん
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世の中はいかがはせまし茂山の 青葉の杉のしるしだになし