- 歌の意味
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ちょうどその折も折、花橘が香ることよ。昔のことを見た夢から覚めた枕もとに。
- 鑑賞
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巻第三 夏歌 175
詞書「花橘薫枕といへる心をよめる」
「花橘薫枕(花橘が枕に薫る)」という題で詠んだ歌である。昔のことを夢に見て目覚めた、ちょうどそのときに、枕もとに花橘の香りが漂ってきた、と詠む。花橘の香は昔を思い出させるものとされるが、本歌では夢に見た昔と現実に漂う香りとが折よく重なり、懐旧の情をいっそう深めている。
作者の「藤原公衡朝臣」は右大臣藤原公能の子とされ、左近衛中将を務めた。兄に左大臣藤原実定、権大納言藤原実家がいる。
初句「折しもあれ」は、ちょうどその折も折、の意で、時の重なりを強調する。本巻の第百八十四首も「時しもあれ」と詠み起こす。
二句「花橘の」は、一首の主題を示す。
三句「香るかな」の「かな」は詠嘆で、ここで句切れとなる。
四句「昔を見つる」の「つる」は完了の助動詞「つ」の連体形で、昔のことを見た、の意である。花橘が昔を思い出させるという伝統を踏まえる。
結句「夢の枕に」は、夢から覚めた枕もとに、の意で、詞書の「薫枕」を表す。三句と倒置の関係にある。
かをる:よい香りがする
- 作者
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藤原公衡
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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我が宿の花橘に吹く風を 誰が里よりと誰ながむらん
- 次の歌
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五月雨に花橘の香る夜は 月澄む秋もさもあらばあれ