常よりも身にぞしみける秋の野に
月澄む夜半の荻の上風
- 歌の意味
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いつもよりも身にしみることだ。秋の野に月が澄みわたる夜更けの、荻の葉の上を吹く風は。
- 鑑賞
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巻第四 秋歌上 290
詞書「百首歌よみ侍りける時、月の歌とてよみ侍りける」
百首歌を詠んだ折に、「月」を題として詠んだ歌である。秋の野に月が澄みわたる夜更けに、荻の葉の上を吹く風は、いつもよりもいっそう身にしみる、と詠む。冴えわたる月の光の中で聞く荻の風の音に、ふだん以上の秋の哀れを感じ取っている。
作者の「右衛門督頼実」は藤原頼実である。左大臣藤原経宗の子で、当時は右衛門督であり、のちに太政大臣に至った。
本巻の第二百三十三首「まづ身にしむは荻の上風」と同じ結句で、本歌はそれを月の夜に移している。第二百三十三首が昼の秋の気配の中で身にしむ荻の風を詠んだのに対し、本歌は月の澄む夜半の荻の風を詠む。
初句「常よりも」は、いつもよりも、の意である。
二句「身にぞしみける」の「ぞ」は係助詞で、「ける」と連体形で結ぶ。身にしみることだ、の意で、ここで句切れとなり、三句以下と倒置の関係にある。本巻の第二百三十二首、第二百三十三首、第二百五十九首も「身にしむ」を詠む。
三句「秋の野に」は、秋の野に、の意で、四句の「月澄む」にかかる。
四句「月澄む夜半の」は、月が澄みわたる夜更けの、の意で、詞書の題の「月」を示す。
結句「荻の上風」は体言止めで、荻の葉の上を吹く風をいう。本巻の第二百三十三首と同じ結句である。
よは:夜中、夜更け
うはかぜ:草木の葉の上を吹き渡る風
- 作者
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藤原頼実
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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遠ざかる音はせねども月清み 氷と見ゆる志賀の浦波
- 次の歌
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ながめやる心の果てぞなかりける あかしの沖に澄める月影