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いかばかり思ふと知りてつらからん
あはれ涙の色を見せばや

歌の意味
私がどれほど思っているかを知ったうえで、あの人はつれなくするのだろうか。ああ、この紅に染まった涙の色を見せたいものだ。
鑑賞
巻第十二 恋歌二 721

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 どれほど思っているかを知ったうえでつれなくするのだろうか、ああ、涙の色を見せたいものだ、と詠む。相手は自分の思いの深さを知らないからこそ冷たいのだろうと考え、紅に染まった涙の色を見せれば思いが伝わるのにと願う歌である。
 作者の「右衛門督頼実」は藤原頼実である。左大臣藤原経宗の子で、右衛門督を務め、のちに太政大臣に至った。
 本巻の第七百二十七首は本歌と同じ初句「いかばかり」で始まる。「涙の色」は第七百六首、第七百四十首にも詠まれる。

 初句「いかばかり」は、どれほど、の意である。本巻の第七百二十七首も同じ初句で始まる。
 二句「思ふと知りて」は、私が思っていると知って、の意である。
 三句「つらからん」の「ん」は推量の助動詞「む」で、つれなくするのだろうか、の意である。知ったうえでのことではあるまい、という含みをもつ。ここで句切れとなる。
 四句「あはれ涙の」の「あはれ」は感動詞で、ああ、の意である。「涙の色」は悲しみのあまり紅に染まった涙をいう。第七百六首の四句「我が涙しも」の色の変わる涙と通う。
 結句「色を見せばや」の「ばや」は自己の希望を表す終助詞で、色を見せたいものだ、の意である。

なみだのいろ:深い悲しみのあまり紅に染まった涙の色
作者
藤原頼実
出典
千載和歌集
前の歌
よしさらば逢ふと見つるに慰まん 覚むる現も夢ならぬかは
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恋ひ死なん命を誰に譲り置きて つれなき人の果てを見せまし