限りあらむ道こそあらめこの世にて
別るべしとは思はざりしを
- 歌の意味
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命に限りがある死出の道での別れならばしかたがないが、この世にいながら別れなければならないとは思いもしなかったのに。
- 鑑賞
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巻第七 離別歌 484
詞書は前の歌に続き「百首歌たてまつりける時、別れの心をよめる」
前歌に続き、久安百首で別れの題を詠んだ歌である。命に限りのある死出の道での別れならしかたがないが、この世に生きていながら別れなければならないとは思いもしなかったのに、と詠む。死別はやむをえないものと受け入れながら、生きているうちの別れを嘆く心を表し、死別と生別とを対比している。
作者の「上西門院兵衛」は神祇伯源顕仲の娘である。待賢門院堀河の妹で、待賢門院に仕え、のちにその皇女の上西門院統子内親王に仕えた。崇徳院の久安百首の作者の一人である。
前歌は心変わりによる別れを詠み、本歌は生きながらの別れを詠む。ともに、ただの旅の別れを越えた別れの意味を見つめている。
初句「限りあらむ」の「限り」は命の限りで、命に限りのあるであろう、の意である。
二句「道こそあらめ」の「道」は死出の道をいう。「こそ」は係助詞で、「め」と已然形で結び、逆接で下に続いて、その道での別れならばともかく、の意となる。
三句「この世にて」は、この世に生きていながら、の意で、二句の死出の道と対比される。
四句「別るべしとは」の「べし」は当然の助動詞で、別れなければならないとは、の意である。
結句「思はざりしを」の「ざり」は打消しの助動詞「ず」の連用形、「し」は過去の助動詞「き」の連体形、「を」は詠嘆をこめた逆接の接続助詞で、思いもしなかったのに、と余情を残す。
かぎり:命の終わり、死
- 作者
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上西門院兵衛
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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頼むれど心変はりて帰り来ば これぞやがての別れなるべき
- 次の歌
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行く君を留めまほしく思ふかな 我も恋しき都なれども