行く君を留めまほしく思ふかな
我も恋しき都なれども
- 歌の意味
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都へ帰ってゆくあなたを引き止めたいと思うことだ。私にとっても恋しい都ではあるけれども。
- 鑑賞
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巻第七 離別歌 485
詞書「参議資通、大弐果てて上りけるに、筑前守にて侍りける時、遣はしける」
参議源資通が大宰大弐の任期を終えて都へ上った時、作者は筑前守として筑紫にいて、資通に贈った歌である。都へ帰ってゆくあなたを引き止めたいと思う、私にとっても恋しい都ではあるけれども、と詠む。同じく都を恋しく思う身でありながら、筑紫で親しくした人を送らねばならない寂しさを、引き止めたいという言葉で率直に表している。
作者の「藤原経衡」は藤原公業の子である。筑前守などを務めた受領で、和歌六人党の一人として知られる。
巻頭からの歌は都から筑紫へ下る人を送るものであったが、本歌と次歌の第四百八十六首は、筑紫から都へ帰る人を筑紫に残る者が送る贈答で、送る側と送られる側の位置が反転している。
初句「行く君を」は、都へ帰ってゆくあなたを、の意である。
二句「留めまほしく」の「まほしく」は希望の助動詞「まほし」の連用形で、引き止めたい、の意である。
三句「思ふかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、ここで句切れとなる。
四句「我も恋しき」の「も」は、あなたと同じく私も、の意で、作者もまた都を恋しく思う身であることを示す。次歌の第四百八十六首は「君だに恋ふる」とこの句を受けて返している。
結句「都なれども」の「ども」は逆接の接続助詞で、恋しい都ではあるけれども、の意である。上の句と倒置の関係にある。
だいに:大宰府の次官である大宰大弐
はつ:終わる、任期が満了する
のぼる:地方から都へ行く
- 作者
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藤原経衡
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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限りあらむ道こそあらめこの世にて 別るべしとは思はざりしを
- 次の歌
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年経たる人の心を思ひやれ 君だに恋ふる花の都を