一目見し人は誰ともしら雲の
上の空なる恋もするかな
- 歌の意味
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ひと目見ただけの人は誰とも知らないまま、白雲が浮かぶ空のように、うわの空の恋をすることだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 647
詞書は前の歌に続き「題しらず」
ひと目見ただけの人を誰とも知らず、白雲の浮かぶ上の空のような恋をすることだ、と詠む。「しら」に「知ら」と「白雲」を掛け、雲の縁で「上の空」を導いて、相手の素性もわからぬまま心が宙に浮いたような恋の心もとなさを表している。
作者の「徳大寺左大臣」は藤原実能である。権大納言藤原公実の子で、左大臣に至り、徳大寺家の祖となった。鳥羽天皇の中宮待賢門院璋子の兄にあたる。
本巻の第六百四十二首の「まだ知らぬ人を初めて恋ふるかな」と、相手を知らぬままの恋を詠む点で共通する。
初句「一目見し」の「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、ひと目見ただけの、の意である。
二句「人は誰とも」は、その人が誰であるとも、の意である。
三句「しら雲の」の「しら」は、「知らず」の意の「知ら」と「白雲」の「白」を掛ける。「白雲」は四句の「空」と縁語になる。
四句「上の空なる」の「上の空」は、空の上の意と、心が落ち着かずうわついている意を重ねる。
結句「恋もするかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、恋もすることだ、の意である。第六百四十二首の初句「まだ知らぬ」と同じく、知らぬ人への恋を詠む。
しらくも:誰とも知らない意の知らと、白雲を掛ける
うはのそら:空の上方。転じて心が落ち着かないさま
- 作者
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藤原実能
- 出典
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千載和歌集
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いかにせん思ひを人に染めながら 色に出でじと忍ぶ心を
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包めども涙に袖のあらはれて 恋すと人に知られぬるかな