結び置くふしみの里の草枕
解けでやみぬる旅にもあるかな
- 歌の意味
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伏見の里で結んでおいた旅の草枕が、ともに臥しながらも、その結び目が解けることのないまま終わってしまう旅であることよ。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 710
詞書「乍臥無実恋」
「乍臥無実恋」、すなわち、ともに臥しながら契りを結ぶことのない恋という題で詠んだ歌である。伏見の里で結んでおいた草枕が、解けないまま終わってしまう旅であることよ、と詠む。「伏見」に「臥し」を掛けて、ともに臥しながらもついに打ち解けることのなかった一夜を、旅の草枕に寄せて表している。
作者の「藤原顕仲朝臣」は藤原資仲の子である。堀河院歌壇で活躍し、堀河百首の作者の一人となった。
本巻の第七百五十三首も同じ「乍臥無実恋」の題で詠まれ、第七百四十三首も「ふしみの里」を詠む。
初句「結び置く」は、結んでおく、の意で、草枕を結ぶことをいう。四句の「解け」と対をなす。
二句「ふしみの里の」の「ふしみ」は、山城国の地名の伏見に「臥し見」を掛け、ともに臥すことを響かせる。本巻の第七百四十三首の四句「ふしみの里の」と同じ句である。
三句「草枕」は旅の仮寝の枕で、結句の「旅」と縁語になる。
四句「解けでやみぬる」の「で」は打消しの接続助詞、「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で、解けないまま終わってしまった、の意である。草枕の結び目が解けないことに、心も身も打ち解けなかったことを重ねる。
結句「旅にもあるかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、旅であることよ、の意である。一夜の逢瀬を旅にたとえる。
ふしみ:山城国の地名伏見に、臥し見るの意を掛ける
くさまくら:旅寝の枕。旅の仮寝
- 作者
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藤原顕仲
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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嬉しくは後の心を神も聞け 引く標縄の絶えじとぞ思ふ
- 次の歌
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恋ひ恋ひてかひもなぎさに沖つ波 寄せてはやがて立ち返れとや