逢ふことをさりともとのみ思ふかな
ふしみの里の名を頼みつつ
- 歌の意味
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逢うことを、いくらなんでもいつかはかなうだろうとばかり思っていることだ。臥して見ると響く伏見の里の名を頼みにしながら。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌二 743
詞書「寄郷恋といへる心を詠める」
「寄郷恋」、すなわち里に寄せる恋という題で詠んだ歌である。逢うことを、それでもいつかはとばかり思っていることだ、伏見の里の名を頼みにしながら、と詠む。「伏見」に「臥し見」を響かせ、ともに臥すことを思わせる里の名をよりどころに、いつかは逢えるだろうと望みをつなぐ恋心を表している。
作者の「左衛門督家通」は藤原家通である。左衛門督を務め、権中納言に至った。
本巻の第七百十首も「ふしみの里」を詠み、同じ地名の「臥し」の響きを生かしている。第七百十首が共に臥しながら契りを結ばずに終わった恋を詠むのに対し、本歌はまだ逢わない恋がその名を頼みにすると詠み、同じ地名をめぐって逢瀬の後と前とが対照的である。初句「逢ふことを」は第七百十四首と同じである。
初句「逢ふことを」は、恋人に逢うことを、の意である。本巻の第七百十四首も同じ初句で始まる。
二句「さりともとのみ」の「さりとも」は、そうであっても、いくらなんでも、の意で、いつかは逢えるだろうと期待する気持ちを表す。
三句「思ふかな」の「かな」は詠嘆の終助詞で、思っていることだ、の意である。ここで句切れとなり、四句以下と倒置の関係にある。
四句「ふしみの里の」の「ふしみ」は、山城国の地名の伏見に「臥し見」を掛け、ともに臥すことを響かせる。本巻の第七百十首の二句「ふしみの里の」と同じ句である。
結句「名を頼みつつ」の「つつ」は継続を表し、名を頼みにしながら、の意である。
ふしみ:山城国の地名伏見に、臥し見るの意を掛ける
さりとも:そうであっても。いくらなんでも
- 作者
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藤原家通
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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行き返る心に人の馴るればや 逢ひ見ぬ先に恋しかるらん
- 次の歌
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などやかくさも暮れがたき大空ぞ 我が待つことはありと知らずや