死ぬとても心を分くるものならば
君に残してなほや恋ひまし
- 歌の意味
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たとえ死んでも、心を分けることができるものならば、あなたのもとに心を残して、なおも恋い続けることだろうか。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 903
詞書「題しらず」
死ぬとしても心を分けられるものならば、あなたに残してなおも恋い続けるだろうか、と詠む。恋のために死ぬことになっても、もし心を分けることができるならば、その一部をあなたのもとに残して、死後もなお恋い続けたいと、死をも超える恋の執着を表している。反実仮想を用いて、かなわぬ願いの形でいっそう深い思いを伝えている。
作者の「権中納言通親」は源通親である。内大臣源雅通の子で、のちに内大臣に至り、土御門内大臣と呼ばれた。後鳥羽院のもとで朝廷の実権を握った。
恋歌四の巻末の一首である。巻頭の第八百四十首は「いかにして夜の心を慰めむ」と、夜の心の慰めがたさを嘆く歌で、巻末の本歌は死んでも心を分けて恋い続けたいと詠み、「心」の語で巻の始めと終わりが呼応している。
初句「死ぬとても」の「とても」は逆接の仮定で、たとえ死んでも、の意である。
二句「心を分くる」の「分く」は分ける意で、心を分けることができる、の意である。巻頭の第八百四十首の二句「夜の心を」と「心」の語で呼応する。
三句「ものならば」の「ば」は仮定の接続助詞で、ものであるならば、の意である。結句の「まし」と呼応する。
四句「君に残して」は分けた心をあなたのもとに残して、の意である。
結句「なほや恋ひまし」の「なほ」はそれでもやはり、の意で、「や」は疑問の係助詞、「まし」は反実仮想の助動詞の連体形で、なおも恋い続けるだろうか、の意である。死後までも続く恋の思いを示して巻を結ぶ。
わく:分ける
- 作者
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源通親
- 出典
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千載和歌集
- 前の歌
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これはみな思ひしことぞ馴れしより あはれ名残をいかにせんとは
- 次の歌
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うたた寝にはかなく覚めし夢をだに この世にまたは見でや止みなん