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まことにや三年も待たで山城の
ふしみの里に新枕する

歌の意味
本当なのか。三年も待たずに、山城の伏見の里で、新しい人と初めての枕を交わすというのは。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 917

詞書「花園左大臣家に侍りける女、伊予と申しけるに、まだ中納言など申しける頃、物申しわたりけるを、かれがれになりにければ、思ひや絶えにけん、前山城守なりける者に物申すと聞きて、言ひつかはしける」
 花園左大臣源有仁の家に仕えていた伊予という女房に、作者がまだ中納言であった頃から言い寄っていたが、次第に疎遠になったので、女も思いを断ち切ったのだろうか、前山城守であった男と親しくしていると聞いて、送った歌である。本当なのか、三年も待たずに山城の伏見の里で新枕を交わすというのは、と詠む。伊勢物語二十四段の、三年帰らぬ夫を待ちわびた女が新しい男と新枕を交わそうとした話を踏まえ、三年も待たずに新しい男になびいたのかと女をなじっている。相手の男が山城守であったことから「山城の伏見の里」を詠み込んだのも機知である。
 歌の後には「かく言ひて侍りければ、あいなくかの男に逢はずなんなりにけるとなん」と記され、この歌を贈られた女は、結局その男とは結ばれずに終わったと伝えている。
 作者の「中院右大臣」は源雅定である。太政大臣源雅実の子で、右大臣に至り、中院右大臣と呼ばれた。

 初句「まことにや」は、本当なのか、の意で、人づてに聞いた噂を確かめる驚きと非難をこめる。ここで句切れとなる。
 二句「三年も待たで」の「で」は打消しの接続助詞で、三年も待たないで、の意である。伊勢物語二十四段で、三年帰らぬ夫を待ちわびた女が新枕を交わそうとした話を踏まえる。
 三句「山城の」は、相手の男が前山城守であったことを踏まえて、四句の伏見の里の国名を示す。
 四句「ふしみの里に」の「ふしみ」は、山城国の地名「伏見」と、横になる意の「臥し」を掛け、結句の「新枕」と響き合う。
 結句「新枕する」は、男女が初めて共寝をすることをいう。伊勢物語二十四段の女の歌の結句「新枕すれ」を踏まえる。

ふしみ:地名の伏見と、横になる意の臥しを掛ける
にひまくら:男女が初めて共寝をすること
かれがれ:次第に疎遠になること
ものまうす:言葉を交わす、男女が親しく交わる
作者
源雅定
出典
千載和歌集
前の歌
恨みずは忘れぬ人もありなまし 思ひ知らでぞあるべかりける
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憂き人を偲ぶべしとは思ひきや 我が心さへなど変はるらん