- 表題
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- 古今和歌集
古今和歌集 - 紀とものり
五月雨に物思ひをれば郭公
夜ふかくなきていづちゆくなむ
さみだれの降る夜に物思いしていたところ、夜が更けてからほととぎすが鳴いて飛びすぎたがどちらの方角をさしてゆくのだろう。
古今和歌集 - よみ人しらず
こぞの夏なきふるして郭公
それかあらぬかこゑのかはらぬ
鳴いているのは去年の夏、よく鳴いていたほととぎすだろうか、それとも別のほととぎすだろうか。鳴き声が少しも変わっていない。
古今和歌集 - 僧正遍昭
はちすはのにごりにしまぬ心もて
なにかはつゆを玉とあざむく
蓮の葉が泥の中で育ったのに、濁りに染まらない清い心を持ちながら、どうして葉の上の露を玉のように見せかけて欺くのだろうか。