古典和歌stream

伊勢物語

百年に一年たらぬつくも髪
我を恋ふらし面影に見ゆ

百歳に一年足りない年をとったぼさぼさの白髪の老婆が私を恋しく思っているらしい。まぼろしになって見える。

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伊勢物語

さむしろに衣かたしきこよひもや
恋しき人にあはでのみ寝む

敷物に自分の衣の片袖をしいて、今宵もまた恋しい人に逢わないままで独り寝をするのか。

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伊勢物語

吹く風にわが身をなさば玉すだれ
ひま求めつつ入るべきものを

私の体がどこでも吹き通ってゆく風になれば、あなたの住む美しい簾(すだれ)の透き間を探して中に入って行くことができのだが。

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伊勢物語

とりとめぬ風にはありとも玉すだれ
たがゆるさばかひま求むべき

手でつかまえてとりおさえられない風ではあっても、だれが許したら簾の透き間を探しあてることができるだろうか。

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伊勢物語

思ふには忍ぶることぞ負けにける
逢ふにしかへばさもあらばあれ

あなたを恋しいと思う気持ちには我慢しようとしても負けて逢ってしまう。逢えるのならば、どうなってもかまわない。

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伊勢物語

恋せじと御手洗河にせしみそぎ
神はうけずもなりにけるかな

もう恋をしないと決心して神社近くの河で清めて行ったみそぎだが、神は私の願いを受け入れてはくださらなかった。

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伊勢物語

海人の刈る藻にすむ虫の我からと
音をこそなかめ世をばうらみじ

海人が刈り取る海藻に住む虫の名前の、われからではないが、この度のことは私自身のせいだと声をあげて泣こう。あの人との仲をけっして恨むつもりはない。

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伊勢物語

さりともと思ふらむこそ悲しけれ
あるにもあらぬ身を知らずして

このような生きているとも言えないような私の有様を知らないで、それどもいつかは逢えるかもしれないと、あの人が思っているだろうことが悲しい

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伊勢物語

いたづらに行きてはきぬるものゆゑに
見まくほしさにいざはなれつつ

逢いに行っては空しく帰って来てしまうけれど、それ故に逢いたいという願いに心動かされ、また出かけてゆくことだ。

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伊勢物語

難波津をけさこそみつの浦ごとに
これやこの世うみ渡る舟

難波港を今朝、よく見ると港の入り江ごとに船が停泊している。これがこの世の中をつらく退屈なものと思いながら大海を渡る舟か。

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伊勢物語

きのうけふ雲のたちまひかくろふは
花の林を憂しとなりけり

昨日も今日も雲が立ち上がり、舞うようにして雲のなかに山が姿を隠し続けていたのは、梢に花が咲いたように雪を積もらせている林を、人に見せたくないということであったのだ。

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伊勢物語

雁なきて菊の花さく秋はあれど
春の海辺にすみよしの浜

雁が鳴いて菊の花が咲く秋はもちろん素晴らしいが、春の住吉は景色がいいうえに、のどかで住み良いところだ。

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伊勢物語

君や来し我や行きけむおもほえず
夢か現かねてかさめてか

あなたが来たのか私がうかがったのか、はっきり覚えていません。夢か現実か寝て夢の中のことか目覚めて現実に経験したことなのか。

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伊勢物語

かきくらす心の闇にまどひにき
夢うつつとはこよひさだめよ

混乱して理性もなくなって何の分別もつかないぐらい取り乱してしまった。夢のことか現実のことかは今夜はっきりとさせてください。

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伊勢物語

かち人の渡れど濡れぬえにしあれば
又あふ坂の関はこえなむ

斎宮寮の入り江は徒歩で歩いて渡っても裾が濡れないほど浅いので、また逢坂の関を越えて都に帰るでしょう。その時またお会いしましょう。

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伊勢物語

見るめかるかたやいづこぞ棹させて
我に教へよあまの釣舟

海藻の海松(みる)を刈りとる入り江はどこか。釣舟を漕いで連れて行って、ここだと私に教えてくれ

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