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降る雪のみのしろ衣うちきつつ
春来にけりと驚かれぬる

歌の意味
降る雪をしのぐ蓑の代わりにと賜った白い衣を身にまといながら、ああ春が来たのだと、思わずはっとさせられたことだ。
鑑賞
巻第一 春歌上 1

詞書「正月一日、二条の后の宮にて白き大袿を賜はりて」
 元日に二条后の御所で白い大袿を賜り、それを身にまとったときの驚きと喜びを詠んだ歌である。降る雪の白さと賜った袿の白さを重ね、雪の中にも春が来たのだと改めて気づかされた感動を表している。後撰和歌集の巻頭を飾る一首で、新年の慶びと立春の喜びを結びつけている。
 詞書によれば、正月一日、二条后の宮で禄として白い大袿を賜った折の詠である。二条后は清和天皇の女御で陽成天皇の母、藤原高子である。
 作者の藤原敏行は平安時代前期の歌人で、藤原富士麻呂の子である。右兵衛督に至り、能書家としても知られた。三十六歌仙の一人である。

 初句「降る雪の」は、空から降る雪を示し、次の「みのしろ衣」の白さを引き出している。巻頭のこの歌は、巻末の第四十六首とともに祝いの場の歌であり、慶賀の歌で巻を開き、慶賀の歌で巻を閉じる配列になっている。
 二句「みのしろ衣」は、蓑の代わりに着る衣の意で、雪を防ぐものとして賜った白い大袿を指している。
 三句「うちきつつ」は、衣を「打ち着る」意に、賜った「袿(うちき)」の語を掛けた掛詞である。「つつ」は動作の継続を表す。
 四句「春来にけりと」の「けり」は、今になって気づいた詠嘆を表す。雪の中に春の到来を感じ取る趣向は、次歌の第二首にも受け継がれている。
 結句「驚かれぬる」の「れ」は自発の助動詞で、思わずはっとさせられた心情を表す。連体形「ぬる」で止め、余韻を残している。

みのしろごろも:蓑の代わりに着る衣、ここでは賜った白い大袿を指す
うちく:衣を打ち着る意と、賜った「袿」の語を掛ける
おほうちき:禄として賜る大きな袿
きさいのみや:皇后や皇太后の御所、またその人
作者
藤原敏行
出典
後撰和歌集
次の歌
春立つと聞きつるからに春日山 消えあへぬ雪の花と見ゆらむ