春立つと聞きつるからに春日山
消えあへぬ雪の花と見ゆらむ
- 歌の意味
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春が立ったと聞いただけで、どうして春日山の消えきらずに残る雪が花と見えるのだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 2
詞書「春立つ日よめる」
立春の日に、春日山に消え残る雪が花のように見えると詠んだ歌である。暦の上で春になったと聞いただけで、まだ冬の名残の雪が花に見えてしまう心の動きを、軽い驚きとともに表している。
詞書によれば、立春の日に詠まれた歌である。暦の春を迎えた喜びが、景色の見え方そのものを変えてしまうという趣向である。
作者の凡河内躬恒は、古今和歌集の撰者の一人で、甲斐少目や和泉大掾などを歴任した。三十六歌仙の一人である。
初句「春立つと」は、立春を迎えたことを示す。前歌の第一首の「春来にけり」を受け、立春の日の歌が続いていく。
二句「聞きつるからに」の「からに」は、〜するとすぐに、〜しただけでの意を表す。実際の景色よりも、春と聞いたことが先に立っている。
三句「春日山」は、大和国の春日の地にある山である。地名に「春」の字を含み、立春の歌にふさわしい。
四句「消えあへぬ雪の」の「あへぬ」は、すっかり〜しきれないの意で、消えきらずに残っている雪をいう。
結句「花と見ゆらむ」は、雪を花に見立てた表現である。「らむ」は原因を推量する助動詞で、どうして花に見えるのだろうかと問いかけている。
かすがやま:大和国の春日にある山
きえあふ:すっかり消えきる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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降る雪のみのしろ衣うちきつつ 春来にけりと驚かれぬる
- 次の歌
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今日よりは荻の焼原かき分けて 若菜摘みにと誰を誘はん