秋深み恋する人の明かしかね
夜を長月と言ふにやあるらん
- 歌の意味
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秋が深いので、恋をする人が夜を明かしかね、その夜が長いことから長月と言うのであろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 523
詞書「答ふ」
秋が深まって、恋をする人が夜を明かしかねるほど夜が長いので、長月と言うのだろうと答えた歌である。前歌の第五百二十二首の伊衡の問いに対し、日数ではなく、恋する人の感じる夜の長さに名の由来を求めている。理屈の問いを恋の情趣へと転じた答えで、第五百十三首から続いた伊衡と躬恒、忠岑の問答の一連を締めくくっている。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「秋深み」は、秋が深いので、の意で、「み」は原因や理由を表す接尾語である。
二句「恋する人の」は、恋をする人が、の意で、問いの日数の話を恋の情趣へと転じている。
三句「明かしかね」は、夜を明かしかねて、の意である。「明かし」の語は、前の問いの第五百十八首の結句の「あかし」と同じ音で、問答の一連の中で響き合っている。
四句「夜を長月と」は、夜が長いので長月と、の意で、「夜を長」と「長月」を重ねて名の由来を説いている。前の前の歌の第五百二十一首の二句「夜は恋しき」と、夜と恋の取り合わせを共有している。
結句「言ふにやあるらん」は、言うのであろうか、の意で、係助詞「や」を受けて、推量の助動詞「らん」の連体形で結ぶ係り結びである。
あかしかぬ:明かしかぬ。夜を明かすことができない
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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夜昼の数は三十路に余らぬを など長月と言ひ始めけん
- 次の歌
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水の泡や種となるらん浮草の まく人なみの上に生ふれば