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夜昼の数は三十路に余らぬを
など長月と言ひ始めけん

歌の意味
夜と昼の数はどの月も三十を超えないのに、どうして九月だけを長月と言い始めたのだろうか。
鑑賞
巻第九 雑歌下 522

詞書「又問ふ」
 どの月も日数は三十日を超えないのに、どうして九月だけを長月と呼び始めたのかと問いかけた歌である。月の名という言葉の由来を取り上げ、名と実の食い違いを問うている。前の問いの第五百十八首と第五百二十首が同じ音の言葉を問うたのに対し、ここでは名の由来を問うており、問答の一連の最後の問いとなっている。
 作者の伊衡は、藤原敏行の子の藤原伊衡で、参議に至った。

 初句「夜昼の」は、夜と昼の、の意で、一日を夜と昼に分けて日数をいう。前の問いの第五百二十首の「よる」を受けて、夜の語で問いを始めている。
 二句「数は三十路に」は、数は三十に、の意で、一月の日数をいう。
 三句「余らぬを」は、余らないのに、の意で、「を」は逆接の接続助詞である。
 四句「など長月と」は、どうして長月と、の意で、「など」は疑問を表し、結句の「けん」と呼応している。
 結句「言ひ始めけん」は、言い始めたのだろうか、の意で、「けん」は過去の原因を推量する助動詞である。

みそぢ:三十路。三十
ながつき:長月。陰暦九月の異名
作者
藤原伊衡
出典
拾遺和歌集
前の歌
むばたまの夜は恋しき人に逢ひて 糸をも縒ればあふとやは見ぬ
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秋深み恋する人の明かしかね 夜を長月と言ふにやあるらん