千歳経る松の下葉の色づくは
誰がしたがみにかけて返すぞ
- 歌の意味
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千年を経ても色の変わらないはずの松の下葉が色づくのは、いったい誰が何に掛けて色を染め返しているのか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 516
詞書「又問ふ」
千年を経ても緑を保つはずの松の下葉が色づくのはなぜかと、重ねて問いかけた歌である。前の問いの第五百十三首では萩の下葉を取り上げたのに対し、ここでは常緑の松の下葉という、さらに理屈に合わない例を持ち出して答えを求めている。萩から松へ、一年の秋から千年へと尺度を大きくして問いを重ねている。
作者の「これひら」は藤原伊衡である。藤原敏行の子で、参議に至った。
初句「千歳経る」は、千年を経る、の意で、松の長寿をいう。次歌の第五百十七首の二句「千歳の秋に」と、「千歳」の語で応じ合っている。
二句「松の下葉の」は、松の下の方の葉が、の意で、前の問いの第五百十三首の四句「萩の下葉の」と同じ形で、萩を松に置き換えている。
三句「色づくは」は、色づくのは、の意で、常緑の松が色を変えることの不思議をいう。
四句「誰がしたがみに」は、難解な句で解釈が定まらないが、誰が、何に、の意で色づけの主を問うものと解される。
結句「かけて返すぞ」は、掛けて染め返すのか、の意で、「ぞ」は文末で強く問いただす意を表す。
ちとせ:千歳。千年。長い年月
- 作者
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藤原伊衡
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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秋萩はまづさす枝より移ろふを 露の分くとは思はざらなむ
- 次の歌
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松といへど千歳の秋にあひ来れば しのびに落つる下葉なりけり