秋萩はまづさす枝より移ろふを
露の分くとは思はざらなむ
- 歌の意味
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秋萩は先に伸び出た枝から色が変わっていくものなのだから、露が分け隔てをして色づけているとは思わないでほしい。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 515
詞書「答ふ」
秋萩は先に伸び出た枝から色が変わっていくのであり、露が分け隔てをしているのではないと答えた歌である。前の前の歌の第五百十三首の伊衡の問いに対し、前歌の第五百十四首の躬恒とは異なる理屈を示し、色づく順序は枝の伸びた順によるのだと答えている。躬恒が鹿を持ち出して情景で答えたのに対し、忠岑は萩そのものの性質で答えており、二人の答えが対をなしている。
作者の「ただみね」は壬生忠岑である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「秋萩は」は、秋の萩は、の意で、前歌の第五百十四首の三句「秋萩は」と同じ語で答えを始めている。
二句「まづさす枝より」は、先に伸び出た枝から、の意で、「さす」は枝が伸び出る意である。字余りの句である。
三句「移ろふを」は、色が変わっていくのだから、の意で、「を」は順接の接続助詞である。
四句「露の分くとは」は、露が分け隔てをするとは、の意で、伊衡の問いの白露を受けている。
結句「思はざらなむ」は、思わないでほしい、の意で、「なむ」は他に対する願望を表す終助詞である。
さす:枝などが伸び出る
うつろふ:移ろふ。色が変わる
わく:分く。分け隔てをする
- 作者
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壬生忠岑
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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さを鹿のしがらみ伏する秋萩は 下葉や上になりかへるらん
- 次の歌
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千歳経る松の下葉の色づくは 誰がしたがみにかけて返すぞ