松といへど千歳の秋にあひ来れば
しのびに落つる下葉なりけり
- 歌の意味
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松といっても、千年もの秋に出会ってきたので、人知れずひっそりと落ちる下葉なのであった。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 517
詞書「答ふ」
常緑の松であっても、千年もの秋を経てきたので、人知れずひっそりと落ちる下葉があるのだと答えた歌である。前歌の第五百十六首の伊衡の問いに対し、松もまた秋に出会えば色を変えるという理屈で答えている。千年の長い時の中で、変わらないものにも静かに訪れる移ろいを見つめた答えである。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「松といへど」は、松といっても、の意で、「ど」は逆接の接続助詞であり、常緑とされる松の性質を前提にしている。
二句「千歳の秋に」は、千年もの秋に、の意で、前歌の第五百十六首の初句「千歳経る」を受けている。
三句「あひ来れば」は、出会ってきたので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
四句「しのびに落つる」は、人目につかずにひっそりと落ちる、の意である。
結句「下葉なりけり」は、下葉なのであった、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。前の問いの第五百十三首の四句「萩の下葉の」から続く「下葉」の語で、松の問答を結んでいる。
しのび:忍び。人目を避けること、ひそかであること
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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千歳経る松の下葉の色づくは 誰がしたがみにかけて返すぞ
- 次の歌
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白妙の白き月をも紅の 色をもなどかあかしと言ふらん