白妙の白き月をも紅の
色をもなどかあかしと言ふらん
- 歌の意味
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真っ白な月のことも、紅の色のことも、どうして同じく「あかし」と言うのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 518
詞書「又問ふ」
白く輝く月を「明かし」と言い、紅の色を「赤し」と言うように、色の異なるものを同じ「あかし」という言葉で呼ぶのはなぜかと問いかけた歌である。ここから問いの対象が自然の様子から言葉の不思議へと移り、同じ音の言葉が別の意味を持つことを取り上げている。白と紅という正反対の色を並べて、問いをいっそう鮮やかにしている。
作者の「これひら」は藤原伊衡である。藤原敏行の子で、参議に至った。
初句「白妙の」は、「白き」を導く枕詞である。
二句「白き月をも」は、白い月のことも、の意で、三句以下の「紅の色をも」と並べて対をなしている。
三句「紅の」は、紅の、の意で、二句の「白き」と色の上で対比させている。
四句「色をもなどか」は、色のことも、どうして、の意で、「などか」は疑問を表し、結句の「らん」と呼応している。
結句「あかしと言ふらん」は、「あかし」と言うのだろうか、の意で、「あかし」は月の「明かし」と紅の「赤し」を掛ける掛詞である。第五百二十首の結句「よるといふらん」と同じ形の問いで、二つの問いが対をなしている。
あかし:月が明るい意の「明かし」と、紅の色の「赤し」を掛ける
しろたへ:白妙。白い布。転じて白い色
- 作者
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藤原伊衡
- 出典
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拾遺和歌集
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昔より言ひしきにける事なれば 我らはいかが今は定めん