昔より言ひしきにける事なれば
我らはいかが今は定めん
- 歌の意味
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昔から言い続けてきたことなので、我々がどうして今になってそれを定め直すことができようか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 519
詞書「答ふ」
昔から言い習わしてきたことなので、今になって我々がどうして定め直すことができようかと答えた歌である。前歌の第五百十八首の伊衡の問いに対し、理屈で答えるのではなく、言葉は昔からの言い習わしであると、とぼけたように受け流している。答えにくい言葉の問いを軽くかわす、機知のある答えである。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「昔より」は、昔から、の意である。
二句「言ひしきにける」は、言い続けてきた、の意で、「しき」は「敷く」で、ずっと続ける意を添え、「に」は完了、「ける」は過去の助動詞である。
三句「事なれば」は、ことなので、の意で、「ば」は已然形について原因を表す。
四句「我らはいかが」は、我々はどうして、の意で、「いかが」は反語を表し、結句の「ん」と呼応している。
結句「今は定めん」は、今になって定め直すことができようか、の意である。四句と合わせた「いかが今は定めん」は、本巻の第五百十二首の四句「いかが定めむ」と同じ言い回しで、定めかねるという答えが配列の中で呼応している。
いひしく:言ひ敷く。ずっと言い続ける、言い習わす
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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白妙の白き月をも紅の 色をもなどかあかしと言ふらん
- 次の歌
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影見れば光なきをも衣縫ふ 糸をもなどかよるといふらん