影見れば光なきをも衣縫ふ
糸をもなどかよるといふらん
- 歌の意味
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影を見ると光のない夜のことも、衣を縫う糸をねじり合わせることも、どうして同じく「よる」と言うのだろうか。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 520
詞書「又問ふ」
光のない夜を「夜」と言い、衣を縫う糸をねじり合わせることを「縒る」と言うように、まったく別のものを同じ「よる」という言葉で呼ぶのはなぜかと問いかけた歌である。前の問いの第五百十八首の「あかし」に続き、同じ音を持つ言葉の不思議を取り上げている。
作者の「これひら」は藤原伊衡である。藤原敏行の子で、参議に至った。
初句「影見れば」は、物の影を見ると、の意である。
二句「光なきをも」は、光のない時のことも、の意で、夜を指している。前の問いの第五百十八首の二句「白き月をも」と同じ「〜をも」の形で並べている。
三句「衣縫ふ」は、衣を縫う、の意で、四句の「糸」にかかる。
四句「糸をもなどか」は、糸のことも、どうして、の意で、「などか」は疑問を表し、結句の「らん」と呼応している。前の問いの第五百十八首の四句「色をもなどか」と同じ形である。
結句「よるといふらん」は、「よる」と言うのだろうか、の意で、「よる」は「夜」と、糸を「縒る」を掛ける掛詞である。本巻の第五百五十五首の四句「よる人もなき」も、糸を縒る意を掛けた「よる」を滝の白糸とともに用いており、糸と「よる」の取り合わせを共有している。
よる:「夜」と、糸を「縒る」の意を掛ける
- 作者
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藤原伊衡
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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昔より言ひしきにける事なれば 我らはいかが今は定めん
- 次の歌
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むばたまの夜は恋しき人に逢ひて 糸をも縒ればあふとやは見ぬ