古典和歌stream

かざしては白髪にまがふ梅の花
今はいづれを抜かむとすらん

歌の意味
髪に挿すと白髪と見分けがつかなくなる梅の花よ。これでは今は、どれを白髪として抜こうというのだろうか。
鑑賞
巻第十六 雑春歌 1011

詞書「内裏の御遊び侍りける時」
 白梅を髪に挿すと白髪と紛れてしまい、どれが白髪か分からないので、今はどれを抜こうとするのだろうかと戯れた歌である。詞書から、宮中で管弦の遊びが催された折の歌とわかる。挿頭の白梅と老いの白髪とを見立て合わせ、老いの嘆きを宴の座興に転じた機知の歌である。巻頭の第千首、第千一首の老いの嘆きを、ここでは軽やかな笑いとして詠んでいる。
 作者の「参議伊衡」は藤原伊衡である。藤原敏行の子で、参議に至った。

 初句「かざしては」は、挿頭として髪に挿すと、の意である。
 二句「白髪にまがふ」は、白髪と見分けがつかなくなる、の意で、白梅の白さを白髪に見立てている。
 三句「梅の花」は、梅の花よ、の意で、名詞で言い切る三句切れである。
 四句「今はいづれを」は、今はどれを、の意で、「いづれ」は疑問を表し、結句の「らん」と呼応している。
 結句「抜かむとすらん」は、抜こうとするのだろうか、の意で、白髪を抜くことをいう。「む」は意志、「らん」は推量の助動詞である。

かざす:挿頭す。花や枝を髪や冠に挿す
まがふ:紛ふ。入りまじって見分けがつかなくなる
作者
藤原伊衡
出典
拾遺和歌集
前の歌
折りて見るかひもあるかな梅の花 今日九重のにほひまさりて
次の歌
数ふれどおぼつかなきを我が宿の 梅こそ春の数を知るらめ