むばたまの夜は恋しき人に逢ひて
糸をも縒ればあふとやは見ぬ
- 歌の意味
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夜は恋しい人に逢うときであり、糸も縒れば合わさるのだから、どちらも「あふ」ものと見ないだろうか、見るであろう。
- 鑑賞
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巻第九 雑歌下 521
詞書「答ふ」
夜は恋しい人に逢うものであり、糸も縒れば合わさるものだから、どちらも「あふ」ものとして同じ「よる」と呼ぶのだと答えた歌である。前歌の第五百二十首の伊衡の問いに対し、「逢ふ」と「合ふ」という、もう一つの同じ音の言葉を持ち出して、二つの「よる」を結びつけている。言葉の問いに言葉の技巧で答えた、機知に富む答えである。
作者の「みつね」は凡河内躬恒である。古今和歌集の撰者の一人で、三十六歌仙に数えられる。
初句「むばたまの」は、「夜」を導く枕詞である。
二句「夜は恋しき」は、夜は恋しい、の意で、前歌の第五百二十首の問いの「よる」のうち夜の方を受けている。
三句「人に逢ひて」は、人に逢って、の意で、六音の字余りの句である。
四句「糸をも縒れば」は、糸も縒れば、の意で、前歌の四句「糸をもなどか」を受け、問いの「よる」のうち縒る方を受けている。
結句「あふとやは見ぬ」は、「あふ」ものと見ないだろうか、見るであろう、の意で、「やは」は反語を表す。「あふ」は人に「逢ふ」と、糸が「合ふ」を掛ける掛詞である。
あふ:恋しい人に「逢ふ」意と、縒った糸が「合ふ」意を掛ける
よる:縒る。糸をねじり合わせる
- 作者
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凡河内躬恒
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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影見れば光なきをも衣縫ふ 糸をもなどかよるといふらん
- 次の歌
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夜昼の数は三十路に余らぬを など長月と言ひ始めけん