梅の花香を吹きかくる春風に
心を染めば人やとがめむ
- 歌の意味
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梅の花の香りを吹きかけてくる春風に、心を染めてしまったならば、人はとがめるだろうか。
- 鑑賞
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巻第一 春歌上 31
詞書「題しらず」
梅の香を運んでくる春風に心まで染まってしまったら、人はそれをとがめるだろうかと詠んだ歌である。梅の香に心を奪われる自分を、ほかの人への思いに心を移すことになぞらえるようなおかしみがある。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「梅の花」は、香を放つ梅を示す。
二句「香を吹きかくる」は、梅の香を吹きかけてくる、の意で、春風が香を運ぶさまを表している。
三句「春風に」は、梅の香を運ぶ風を示す。本巻の第十一首や第十二首でも、風は春の訪れを運ぶものとして詠まれている。
四句「心を染めば」は、香りに心が染まったならば、の意である。本巻の第十六首では衣を、本歌では心を香に染めている。
結句「人やとがめむ」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「む」と係り結びをなす。本巻の第二十七首の「とがむばかりの」と同じく、香をめぐって人にとがめられることを詠んでいる。
とがむ:不審に思って問いただす
そむ:色や香りを染みこませる
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人心憂さこそまされ春立てば とまらず消ゆるゆき隠れなむ
- 次の歌
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春雨の降らば野山にまじりなむ 梅の花笠ありといふなり