- 歌の意味
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花の盛りはまだ過ぎてもいないのに、吉野川の水に映る影では、早くも色あせていくように見える岸の山吹よ。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 121
詞書「題しらず」
まだ盛りは過ぎていないのに、吉野川の水に映る岸の山吹の影は、早くも移ろっていくように見えると詠んだ歌である。揺れる水面の影に花の移ろいを先取りして見ている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
古今和歌集の紀貫之の「吉野河岸の山吹ふく風に底の影さへうつろひにけり」も、吉野川の岸の山吹が水底の影まで移ろうと詠んでおり、本歌と同じ景と語を用いている。
初句「花盛り」は、山吹の花の盛りを示す。
二句「まだも過ぎぬに」の「ぬ」は打消の連体形、「に」は逆接で、まだ過ぎていないのに、の意である。
三句「吉野河」は、大和国の歌枕で、岸の山吹とともに詠まれることが多い。
四句「影にうつろふ」の「うつろふ」は、水に「映る」意と、色が「移ろふ」意を掛けた掛詞である。次歌の第百二十二首も「うつろふ」の語で山吹を詠んでいる。
結句「岸の山吹」は体言止めで、吉野川の岸に咲く山吹を示している。
うつろふ:水に「映る」意と、色が「移ろふ」意を掛ける
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我が宿の影とも頼む藤の花 立ち寄り来とも浪に折らるな
- 次の歌
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しのびかねなきてかはづの惜しむをも 知らずうつろふ山吹の花