ともにこそ花をも見めと待つ人の
来ぬものゆゑに惜しき春かな
- 歌の意味
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一緒にこそ花を見ようと待っていた人が来ないので、いっそう惜しまれる春であることだ。
- 鑑賞
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巻第三 春歌下 138
詞書は前の歌に続き「常にまうで来通ひける所に、障る事侍りて久しくまうで来あはずして年かへりにけり、明くる春弥生のつごもりにつかはしける」
一緒に花を見ようと待っていた人が来ないので、いっそう春が惜しまれると詠んだ歌である。ともに花を見る約束がかなわないまま春が終わる寂しさを、相手への恨みを込めて伝えている。
第百三十七首と第百三十八首は藤原雅正が紀貫之に贈った歌で、第百三十九首と第百四十首はそれに対する貫之の返歌である。
作者の藤原雅正は藤原兼輔の子で、周防守などを務めた。紫式部の祖父にあたる。
初句「ともにこそ」の「こそ」は係助詞で、二句の已然形「め」と係り結びをなし、一緒にこそ、と強調している。
二句「花をも見めと」の「め」は意志の助動詞「む」の已然形で、花を見ようと、の意である。
三句「待つ人の」は、待っていた相手、すなわち紀貫之を指している。
四句「来ぬものゆゑに」の「ものゆゑに」は理由を表し、来ないので、の意である。
結句「惜しき春かな」は、本巻の第八十四首、巻末の第百四十六首と同じ結句である。
つごもり:月の末日
- 作者
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藤原雅正
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君来ずて年は暮れにき立ちかへり 春さへ今日になりにけるかな
- 次の歌
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君にだに訪はれで経れば藤の花 たそかれ時も知らずぞありける