撫子の花散りがたになりにけり
わが待つ秋ぞ近くなるらし
- 歌の意味
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撫子の花が散り際になってしまった。私の待っている秋が近づいてきたらしい。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 204
詞書「題しらず」
撫子の花が散り際になったのを見て、自分の待つ秋が近づいてきたらしいと詠んだ歌である。夏の花の衰えに季節の移り変わりを感じ取り、秋の訪れを待つ心を表している。
撫子を詠む一連の歌は本歌で結ばれ、以後は夏の終わりから秋の近づきへと歌が移っていく。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。
初句「撫子の」は、撫子の花を示す。本巻の第百九十八首から続く撫子の一連は、本歌で結ばれる。
二句「花散りがたに」は、花が散りかけるころに、の意である。
三句「なりにけり」は、なってしまった、の意で、「に」は完了、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
四句「わが待つ秋ぞ」は、私が待っている秋が、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「近くなるらし」は、近づいてきたらしい、の意で、「らし」は根拠のある推定を表す。撫子が散りかけることを根拠に、秋の近づきを推し量っている。本巻の第二百八首の「秋近み」も、秋の近づきを詠んでいる。
ちりがた:花が散りかけるころ、散り際
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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なでしこはいづれともなくにほへども 後れて咲くはあはれなりけり
- 次の歌
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宵ながら昼にもあらなん夏なれば 待ち暮らす間のほど無かるべく