石見潟なにかはつらきつらからば
うらみがてらに来ても見よかし
- 歌の意味
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石見潟ではないが、何がつらいというのか。つらいのならば、浦を見がてら、恨みがてらに、ここへ来てみればよい。
- 鑑賞
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巻第十九 雑恋 1262
詞書「慎むこと侍りける女の返り事をせずのみ侍りければ、一条摂政「石見潟」と言ひ遣はしたりければ」
何がつらいというのか、つらいのならば恨みがてら来てみればよいと詠む歌である。詞書から、物忌みで慎んでいた女が返事をしないでいたところ、一条摂政藤原伊尹が「石見潟」とだけ言い送ってきたので、女が詠んだ歌とわかる。伊尹の「石見潟」には、返事をしない女へのつらさをほのめかす意がこめられていたとみられ、女はその語を受けて、潟の縁で「浦見」に「恨み」を掛け、恨むならいっそ訪ねて来ればよいと切り返している。
初句「石見潟」は、石見国の海辺、の意で、詞書の伊尹の言葉をそのまま受けている。
二句「なにかはつらき」は、何がつらいのか、の意で、「かは」は反語を表す。ここで句切れとなる二句切れの歌である。
三句「つらからば」は、つらいのならば、の意で、二句の「つらき」を重ねている。
四句「うらみがてらに」は、「うらみ」が潟の縁の「浦見」と「恨み」を掛ける掛詞である。「がてら」は、ついでに、の意である。
結句「来ても見よかし」は、来てみればよい、の意で、「かし」は念を押す終助詞である。
うらみ:潟の縁の「浦見」と、「恨み」を掛ける
いはみがた:石見潟。石見国の海辺
つつしむ:慎む。物忌みをする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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我こそは憎くもあらめ我が宿の 花見にだにも君が来まさぬ
- 次の歌
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それならぬこともありしを忘れねと 言ひしばかりを耳にとめけん